今や薬でエイズ発症防げる時代…“ゲイ”と“HIV陽性”公表の男性 未だ続く偏見や差別への想い(石川テレビ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd300d2090382e43f95748492af7049131c4c36b

(前略

HIVに対しては社会全体で正しい知識が共有されない為に、未だ根強い偏見や差別が残っています。

奥村さん:
「これを報道の方々に申し上げるのはすごく心苦しいんですけど、僕ら自身のこの病気に対するスティグマ(間違った認識)とか差別・偏見っていうのを1番最初に大きく取り上げたのは、やっぱり報道の方々だったと思います。『HIVは死の病だ。同性愛者がかかる病気だ』って…」

白山市の奥村兼之助さん。ゲイであることとHIVの陽性者であることを公表しています。

奥村さんは県の非常勤職員として働く傍ら、今回の金沢プライドウィークを主催した金沢レインボープライドの事務局長を務めています。

HIVの陽性と分かったのは、およそ20年前のことでした。

奥村さん:
「まず親になんて説明しようとか、それからその時のパートナーになんて説明しようとか、そういうのが1番最初に頭に出てきたのと、あと『これでやっぱり自分死んじゃうのかな』みたいなことは、その時やっぱり思いました」

HIV、ヒト免疫不全ウイルスは人間の免疫細胞に感染して増殖します。その結果、免疫細胞が徐々に減っていき、様々な病気を発症するようになります。

この段階で後天性免疫不全症候群、つまりエイズと診断されるのです。奥村さんの場合は、HIVの陽性者であってエイズ患者ではありません。

HIV陽性となってから20年以上、奥村さんは一般の人と変わらない生活を送っています。それを可能にしているのは、治療薬の進化です。

奥村さん:
「持ってきたんですけども、1日に1回、もしくは種類によっては1日2回薬を飲み続けるだけで、体の中でウイルスが検出されなくなります。そうなりますと、他の方に(HIVを)うつすという心配もないですし、他の方からまた再度うつるっていう可能性もかなり低くなってくる」

薬を飲むことでエイズの発症を防ぎ、他の人にウイルスをうつす心配もなくなります。

金沢プライドウィークに合わせ開かれたHIVへの偏見・差別解消を訴えるイベント。HIVの治療に携わる医師が登壇し現在の治療薬について次のように説明しました。

渡邉医師:
「昔は1日20錠ぐらい飲んでいた時期もありましたけれども、そこから一日4錠、あるいは一日2錠といった治療に変わってきています」

最近は1日1錠で済む治療薬や、1カ月に1回、注射を打つだけでよい薬などが開発されています。今やHIVは早期発見、治療することでエイズの発症を防ぐことが出来るのです。

しかし…。

奥村さん:
「その情報を、報道の方々は『前回こんなこと言っちゃいましたけど、実は今こうなってますよ』ってことをどれだけ取り上げてるかなって…」

30年以上前に不治の病と大きく報道された一方、治療薬の進化についてはあまり報道されていないことで偏見や差別が続いています。

奥村さん:
「その病気になっている人間で、顔を出してもいいよ、話してもいいよという人がやっぱり広げていかなければいけないのかな…それが僕の病気になった理由か、義務か…って言えばそんなもんなのか、カッコつけているわけじゃないですけど」

奥村さんは苦しみながらも自ら声を上げ続けます。

(後略