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誤解だらけの“大麻解禁”、バンコクから現地ルポ「買いに来るのは普通の方々」

日本でもすでに報道されているように、タイで2022年6月9日から大麻が「解禁」になりました。しかし、実際、何が合法で何が違法なのか情報が錯綜しています。日本でも大麻解禁についての議論がたびたび起こるなか、今回、大麻関連のショップ2店で話を聞き、その実態に迫ってみました。
日本人小道に大麻販売店出現!
駐在員やその家族が買い物に訪れる通り
バンコク中心部を東西に走るスクンビット通り。そのソイ(小道)33/1は周辺に駐在日本人と家族の方々が多く住んでいて、日本食スーパーを中心に日本食レストラン、日本語古書店などが立ち並び、地元の人から「日本人小道」と呼ばれています。
そこに7月オープンしたのが「ブッダズ・クッシュ・ストリート」。店内に入ると、大麻吸引用のパイプに並んで、各種大麻が入ったガラス瓶が鎮座していました。その上にはメニュー表があり、ストレイン(株)ごとの名前、THC(酩酊感をもたらす成分)の含有パーセント、値段が書かれています。
お値段を見てみると、高い物は1グラム800バーツ(約3000円。以下、レートは取材時)、安い物は1グラム150バーツ(約570円)となっていました。ずいぶん価格差がありますね〜。
“大麻のコンシェルジュ”に話を聞いた
スタッフのカラムさん。タイ語英語のバイリンガルで対応
「どんな種類をお望みですか?」と言うのはスタッフのカラムさん。顧客のニーズに応じてお薦めの種類をアドバイスもしてくれるそうです。大麻のコンシェルジュといったところでしょうか。
取材なのですが、お話を聞いても宜しいでしょうか? どんな人が買いに来られるんでしょうか?
「普通の方々ですよ。仕事で集中するためとか、単純にトリップしてリラックスしたいとか」
店内で試し吸いを勧められた筆者は…
こちらの店、1日に約50人程度が訪れ、人種別の割合は地元タイ人、欧米人、日本人それぞれ同じくくらいだそうです。種類によって値段がずいぶん違いますね?
「高い物は室内で丁寧に管理栽培された物です。対して、野外で育てた物は品質の面で劣るため安くなります。また最も安い価格の物はタイ政府の提供する医療目的のCBD株で、酩酊作用はありません」(カラムさん)
むむむ、奥が深いですね!
「はは。ちなみに、良質の大麻の見分け方をお教えしましょう。ポイントは3つです。1つ目は外見、ちゃんと乾燥しているが乾ききってはいないこと。2つ目は匂い、香りが強いほうが良質です。3つ目は手で触った感触です。パサパサし過ぎず、ねっとりともしていないこと」
なるほど、なるほど。「店内で試し吸いもできるんですがどうですか?」と勧められましたが、アラカン58歳の筆者は臆病者なので丁重にお断りしました。
今後の状況は未知数の「グレイゾーン」
大麻ショップでは吸引のためのグッズも販売
バンコク市内でこのような大麻ショップがあちらこちらでオープンしています。さて、ここでタイの大麻状況を簡単におさらいしましょう。
2019年、タイは大麻を医療・研究目的のみ許可を得た病院や研究施設での栽培と使用を許可しました。その後、一般の農家にも同じく許可制で栽培の認可を与えるなど段階的に緩和。去年には食品・飲料・化粧品の使用許可も出ました。
ただ、これらは大麻の中でも葉や茎からCBD(カンナビジオール)を使用した物限定です。CBDは不眠や不安の軽減などの効果がありますが、私たちが「大麻」という言葉から連想する酩酊作用はありません。
そして、今年6月9日、政府は大麻を禁止薬物リストから除外しました。しかし、あくまでこれは「健康目的での使用」に限定され、THCの含有率は0.2%以下の製品のみ販売や使用がOKとなっています。娯楽目的はアウトなのです。
それでは、まぜ先述のような大麻ショップが堂々を営業をしているのでしょうか? それは法整備の不備からです。そのため、近日、娯楽目的に関する法が施行されてショップの営業が停止なる可能性もあります。しかし、コロナ禍の沈静化を受けて入国規制が緩和されたことと今回の大麻解禁が重なって外国人観光客の数はうなぎ上り。経済的観点から反対の方向へと進むかもしれません。
気軽に大麻コーヒーはいかが?
一見ごく普通のカフェに見えるが…
さて、難しい話が続いたので、コーヒーか紅茶でもいかがでしょうか? 2021年に酩酊作用のないCBD入りの飲食物が許可されてから、それを売り物にしたカフェが続々とできました。「今、屋台形式を含めると500店以上はあるのではないかと思います」と説明してくれるのはポンスパット・スクマールチャンさん