国葬の実施とその報道による影響について、全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士も懸念を示す。

 

「まず私ども弁連は、個人個人の気持ちはありますが、とにかく旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の霊感商法の被害者をこれ以上増やさないことを目的として活動している団体で、政治的な発言は控えよう、というスタンスを取っています。

 

 そのうえで私見を述べれば、旧統一教会のなかではいま、安倍元首相は教団に協力してくれた立派な政治家で、霊界という死後の世界で光り輝いているということで、敬愛と尊敬の対象になっています。その安倍先生のために国葬がおこなわれ、政府や国民の少なからずの人たちが褒め称えれば、教団幹部は『それ見たことか』と言うはずです。やっぱり(現総裁の)韓鶴子さんに敬意を表するとおっしゃった安倍先生が、こうやって国からも、国民からも高く評価されているんだと、安倍先生も命を懸けて尽力されたのだから、地上天国実現のために頑張らないといけないと、信者たちが教え込まれるのは間違いありません。

 

 しかも、今後、信仰を続けるべきか迷っている信者たちも、見てごらん、国葬までやっているでしょと、旧統一教会の活動はこうやって認められているんだよ、否定されているならば国葬なんてやるわけないよねと、説得されてしまう可能性があります。銃撃事件で動揺している信者も、やっぱり頑張ろうかなと思いますよ。国葬が、教団の“内部固め”に利用されることを危惧します。

 

 メディアには、そうした問題に配慮して報道していただきたいと思います」

元首相の不幸により、皮肉にも世に知られることになった旧統一教会の被害者たち。国葬が、その苦しみをさらに拡大することは、絶対に避けねばならない。

https://smart-flash.jp/sociopolitics/202014/1