俺も来年死ぬかも

https://kahoku.news/articles/20220920khn000019.html

 甘党だった夏目漱石は小説『草枕』で好物のようかんを美しく描写している。

 「あの肌合(はだあい)が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ」。ようかん一つがわずか一文で輝きだすのだから、文豪というのはやはりすごい。

 東北大付属図書館の企画で、白松がモナカ本舗(仙台市)が新商品のミニようかんを発売したという。その名も「吾輩(わがはい)は羊羹好(ようかんずき)な猫である」。パッケージでは同館が所蔵する漱石文庫の沿革や漱石と猫を巡るエピソードが紹介されている。

 漱石の蔵書が東北大に寄贈されたのは当時、漱石門下の小宮豊隆が図書館長を務めていた縁によるところが大きい。

 一時は母校・東大への寄贈話も浮上したが、東大側が「漱石蔵書として特別扱いせず、一般図書として架蔵する」と回答したため、弟子たちが反発、東北大へ贈ることにしたらしい。東京の漱石山房は空襲で焼かれたが、幸い蔵書は2年前に東北大に移されていて無事だった。

 「吾輩は-」の売り上げの一部は、そんな漱石文庫の保存に活用される。