ロシア兵が家庭訪問する「住民投票」始まる…ウクライナの占領地、併合確実か 各国「茶番劇」と批判
2022年9月23日 21時20分
ロシアによるウクライナ東部・南部の占領地の併合に向けた「住民投票」が、侵攻7カ月の前日となる23日から始まった。ロシア編入の賛否を問う内容だが、ロシア側が設置した「選挙管理委員会」の票数操作で、賛成票が多数を占めることが確実視されている。プーチン大統領は27日の投票終了を受け、対象地域の一方的な併合を宣言する見通しだ。
一方、プーチン氏が21日署名した「部分動員令」を受けて予備役招集を開始。独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・欧州」は、対象者はショイグ国防相が説明した30万人ではなく、100万人の招集を認める機密項目があると伝えた。
◆親ロシア武装勢力が支配の東部・南部4州で
ウクライナ領の併合は2014年3月の南部クリミア半島以来で、米欧各国の対ロ制裁の強化は必至だ。各国は住民投票実施を「茶番劇」とみて厳しく批判しており、停戦に向け仲介してきたトルコのエルドアン大統領も「併合を認めることはない」と明言した。
ロシア政府は憲法が定める「領土割譲の禁止」を建前に、併合後はウクライナとの交渉を拒否するとみられる。ウクライナ側はロシアに占領された領土の奪還を目指しており、さらなる戦闘激化は避けられない。
住民投票は、親ロ派武装勢力が「独立国」と自称して支配する東部ドネツク、ルガンスク両州(ドンバス地域)と、南部ヘルソン、ザポロジエ両州の一部で実施される。4州にはウクライナが維持する領土や戦地が含まれている。
◆形式的な「監視団」さえなし
ロシア兵と選管当局が各家庭を訪問して投票させるほか、電子投票も導入されるという。クリミア半島の住民投票では、欧州の右派政党を「監視団」として招いたが、今回は形式的な監視も無視した。
親ロ派の「ドネツク人民共和国」のプシーリン首長は「地元住民だけでなく(領土を拡大できる)ロシアにとっても喜ぶべきことだ」との声明を出した。
ロシア政府系の世論調査機関は、編入賛成票はドンバス地域で95%に上り、ヘルソン、ザポロジエの両州で87〜89%になると主張。一方、独立系メディアによると、ロシア政府が秘密裏に実施した世論調査の結果、南部2州の編入支持は約30%にとどまるという。
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/204284