株式が資産配分の王者から転落、利上げ受けさまざまな他の選択肢

長い間、資産配分は容易だった。米国の大手テクノロジー企業の株を買い、待っていればリターンがついてきた。しかし利上げによってそうした日々は終わり、ウォール街の資産運用者らは新たな指針を必要としている。

TINA(株式に代わるものはない)という考えに代わり、さまざまな選択肢が浮上した。マネーマーケット・ファンドや短期の債券、変動利付債など、投資家は低リスクで場合によっては4%を上回るリターンに群がっている。

変化の兆しは夏季にあったが、インフレの高さと労働市場の逼迫(ひっぱく)が米金融当局に住宅危機以来の水準への利上げを迫るとの認識が浸透した9月に加速した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の21日の発言で、当局が少なくとも穏やかなリセッション(景気後退)も辞さないことが明らかになった。

みずほインターナショナルの世界マクロ戦略トレーディング責任者、ピーター・チャットウェル氏は「債券の価値が株式を上回るための転換点を超えた」として、価格設定や利上げ、インフレリスクプレミアムを指摘した。

「利益下方修正リスクが今後数カ月の株式リスクプレミアムをさらに魅力のないものにするだろう」と付け加えた。

1つの指標によれば少なくとも1997年以来の大幅な変動となっている株式市場でリスクを取りたくない投資家は2007年来の高利回りを提供する2年物米国債を選好している。1年物利回りもほぼ同水準で、最新のインフレ率を下回るものの、S&P500種株価指数の今年の20%超下落に比べれば安全だ。

いずれにしても、債券のリターンは株式に対して10年余りで最高となっており、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によれば短期の債券ETF(上場投資信託)には過去最高の資金が流入し、62%のファンドマネジャーが現金をオーバーウエート。株式エクスポージャーは過去最低になっているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/54557feeab058cc7bb1f1799d598cba0223795f1