あまりにも長い時間、白昼夢の世界に入り浸ってしまい、日常生活に困難を抱えてしまう人たちがいる。この症状は「不適応性白昼夢」と呼ばれ、精神疾患として認められる日も遠くはないという。普通の空想とは何が違うのか、治療法はあるのか、英紙「オブザーバー」が取材した。
【動画】「不適応性白昼夢」の5つの兆候
https://youtu.be/VkHErnASuvA
カイラは毎日、空想世界で最先端の宇宙旅行を楽しんでいる。驚くほど鮮明なこの白昼夢は、1人の主人公をめぐる詳細な歴史を備えた物語だ。
「この夢は主人公の人生における79年間を描いています」と彼女は言う。「私はすべての出来事の展開を知っていますし、どこでも好きな地点に入り込んでその場面を体験することができます」
いまではこの習慣も純粋なエンターテイメントとなり、カイラは白昼夢に浸るのを1日に1時間と決めている。「ネットフリックスを見るようなものです。ただ頭のなかに入り込んで楽しむだけですから」
しかし以前は、自身の夢想に取り憑かれていたという。「中毒みたいになっていた時期もあります」
カリーナ・ロペスも似たような経験を語ってくれた。彼女の白昼夢は、複数の登場人物の会話が中心だ。実在の人物もいれば、想像上の人物もいる。ロペスは同じシナリオを繰り返しつつ、細部を少しだけ調整していく。この作業がものすごく楽しいそうだ。「朝、目が覚めたら、もうすぐにでも白昼夢に入りたいです」
大学時代はこうした夢想に耽るあまり、テスト勉強や日々の用事も疎かになるほどだった。「いろんなことを後回しにしてしまうんです。でもそのときは、すごく気持ちがいいんですよね」
平均すると、彼女は現在、1日に3時間ほど白昼夢に浸っている。だが以前は、1日に6時間も内面世界に閉じこもることがあった。
夢想のしすぎは精神疾患?
こうした報告は、心理学者たちにとってますます興味深いものとなっている。というのも彼らは、異常に深く白昼夢に耽溺する人がどれだけいるのかを特定しようとしているのだ。
鮮明で人の心を捉えるこうした夢想は、うまく働けば快感や安らぎをもたらしてくれるが、物事を先延ばしにしたり集中力を欠く原因にもなる。また、人が社会的な繋がりを維持したり、自身の健康に配慮したり、さらには規則正しく食事を摂ったりすることを妨げる場合もある。
研究の結果、40人に1人がこうした問題を経験することが判明した。この「不適応性白昼夢」は、まもなく正式に精神疾患として認知される可能性が高い。
さて、これはいったいどのような疾患なのだろうか。そして、どのように治療すれば良いのだろうか。
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