犯罪者の家族がこれほど非難されるのは日本ぐらい
2022年9月25日（日）12時35分

＜例えば秋葉原無差別殺傷事件だと、犯人の父は引きこもり、母は精神科入院、弟は自殺している。加害者家族は「常識的な人」が多いというが、厳しい現実、難しい問題が横たわっている＞


事件の容疑者が逮捕されると、当の本人は身柄を拘束され、世間からシャットアウトされた場所に身を置くことになる。一方、その家族は報道陣に囲まれ、親は辞職に追い込まれたり、子は退学させられ、引っ越しを余儀なくされたりなど、生活が一変してしまうことが多々ある。世間の非難を一身に浴びるのは、実は犯人ではなくその家族のほうなのだ。

「アメリカはもう逮捕自体をパッとしちゃうので、別に逮捕されたことで、そんなに周りが引かない。でも日本で『逮捕されました』って言うと、驚くじゃないですか。『無罪推定』の概念はまったく働かない。そしてやはり犯罪が少ないだけに、加害者の周囲の人への差別が強いんですよね。犯罪者に対するアレルギーも強いし、それを生んだ家族に対する連帯責任の意識もものすごく強いの。たぶん、世界的に見て、もっとも加害者家族が生きづらい国ではないかと思っています」

似たような話は他の殺人事件に関してもあるようだが、加害者家族が糾弾されるような傾向は、世間の圧力が強い日本特有のことだそうだ。例えばアメリカでは「親は親、子どもは子ども」という線引きがあるため、日本ほど極端なことにはならないという。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/09/post-99689_1.php