【独自】郵便局員の不祥事防止へ「監視カメラ」 全国2万局、費用数百億円
日本郵便が現金横領など局員による不祥事を防ぐため、全国約2万の郵便局に事務スペースを監視する防犯カメラ設置を
計画していることが関係者への取材で分かった。長崎市の元郵便局長が約16億円を詐取したとされる事件などを受けた措置で
数百億円の費用を見込む。郵便局では、過去にも局員監視用カメラを導入しながら、内部の反発を受けて撤去した経緯があり、
局員からは戸惑いの声も出ている。
長崎市の元局長は2014〜21年、局舎内などで顧客らから4億3千万円をだまし取ったとして詐欺罪で起訴され、
今年7月に懲役8年の判決を受け確定した。長崎県警は公訴時効で立件できなかった分も含め被害者は63人、
被害総額は16億4千万円に上るとみる。郵便局では近年、他にも切手の大量着服などの不祥事が相次いで発覚した。
関係者によると、長崎市の事件発覚後の昨年4月、日本郵便は金融庁に対し、局舎内を360度撮影できる高性能カメラを
設置する再発防止策を報告。実施に向け検討を進めてきた。
従来のカメラは窓口や出入り口に向けられ、主に強盗などの防犯目的だった。新たに導入するカメラは事務スペースも広く撮影でき、
遠隔地から映像をチェックできる。不祥事抑止のほか、顧客とのトラブルがあった際の検証にも役立てる。
九州の一部局で試行的に設置しており、26年までに全国に広げる計画という。
郵便局では07年の民営化前にも不祥事が相次ぎ、日本郵政公社(当時)は同年以降、他の設備と合わせて700億円を投じ、
局員に向けたカメラを約1万8千局に設置。小規模局長らでつくる全国郵便局長会が「業務が監視されている」と訴え、
09年以降、32億円をかけて撤去した。
九州のある局員は「設置と撤去を繰り返し、迷走している気がする。不祥事が続いているので仕方ないとは思うが、
仕事を見張られて気を緩められなくなる」とため息をついた。
日本郵便は取材に対し「現行の防犯カメラシステムはかなりの年数を経過していることから、更改を検討している」とコメント。
監視目的など詳細については明らかにしなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/668d265cafd84b447a9752bdda7daed1d5987af1