だまされそうな人の心理、AIで「見える化」 特殊詐欺防止へ試作品
兵庫県尼崎市と東洋大、富士通は、共同研究している犯罪心理学とAIを活用した特殊詐欺防止システムで、生理反応の数値から緊張や混乱といった心理状態を推定できることを確認し、試作品を披露した。17、18両日にあった日本応用心理学会で発表した。
共同研究では3月、65歳以上の市民20人の協力を得て、特殊詐欺を模した電話の音声への反応を調べた。年齢や性別といった基本データに加え、生理反応や疑いやすさなど心理的な特性の指標と、緊張や混乱に関する心理状態の関係性を分析。
心拍数や呼吸数などの11の要素で心理状態を推定できることを確認した。
試作品はコンピューターを内蔵した高周波センサーで生理反応を測定。AIが緊張度合いを判断し、モニターに変化を映し出す。緊張・混乱するほど、心拍数や呼吸数が増加し、より高齢の人、疑いやすい人ほど緊張・混乱しやすいことが数値に表れた。
実用化は高齢者宅にセンサーを置き、電話の際に心理状態を映し出すことを想定している。東洋大の桐生正幸教授は「だまされそうになっている人が自身の心理を客観視したり、警報で注意を促したりして特殊詐欺防止に役立てば」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20220928/k00/00m/040/062000c
手前の高周波センサーで呼吸数や心拍数などを測定し、画面上に緊張度合いが表れる=兵庫県尼崎市役所で、亀田早苗撮影
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/09/28/20220928ddlk28040458000p/9.jpg