偽装メディアがフェイクを拡散する、「ロシア発の最大規模で最も複雑な工作」が明らかになった――。
フェイスブックを運営するメタは9月27日、ロシア発と中国発のフェイクニュースなどを使った組織的な影響工作(IO)が行われていたとし、関連する偽アカウントなどの削除を発表した。
ロシア発の影響工作は、20の欧州の代表的メディアを偽装した60に上るサイトでフェイクニュースを発信。それをAIが自動生成したプロフィール写真を持つ偽造アカウントなどが拡散する、という仕組みだ。
NGO「EUディスインフォラボ」は、この工作を「ドッペルゲンガー(分身)」と呼んでいる。
メディアを偽装するフェイクニュースの情報戦は、ロシアによるウクライナ侵攻の前からあった。
その工作が、より巧妙な手法で大規模に、そして執拗に展開されているようだ。
●20メディア、60サイト
"この工作は今年の5月に始まり、シュピーゲル、ガーディアン、ビルトなどヨーロッパの報道機関の公式サイトに精巧になりすました60以上のサイトを中心とした、広範囲のネットワークとして広がっている。"
メタのグローバル脅威情報責任者のベン・ニモ氏と、セキュリティエンジニアのマイク・トーリー氏は、9月27日に発表した組織的不正行為(CIB)の報告の中で、ロシア発の情報工作について、そう述べている。
著名なメディアサイトのロゴやデザインをコピーすることで、フェイクニュースの拡散を推進する手法は、ロシアに限らず、以前から使われてきた。
※参照:フェイクニュースで“トランプ氏を大統領にした男”への、最後のファクトチェック(10/01/2017 新聞紙学的)
※参照:メディアをハックする:「トランプ辞任」の偽号外(01/17/2019 新聞紙学的)
今回の特徴は、それが広範囲、組織的、そして執拗に行われている点だ。
EUを標的とした偽情報キャンペーンの調査を行うNGO「EUディスインフォラボ」は、この情報工作を、メディアの偽装サイトを使ったその特徴から「ドッペルゲンガー」と呼んでいる。
ニモ氏らの報告書の一覧表に挙げられているのは、ドイツ、英国、フランス、イタリア、ラトビア、ウクライナの6カ国、60のアドレス(ドメイン)と20のメディアだ。
最も集中しているのは、ドイツのメディアでアドレスの登録数は47に上る。
このうち、著名週刊誌のシュピーゲルだけで、14ものアドレスが、様々なバリエーションで6月29日から9月14日にかけて、相次いで登録されている。工作へのブロックと、その回避の攻防が繰り返されていたようだ。
"私たちの調査中、この工作のドメインをブロックしても、さらに新しいウェブサイトを立ち上げようとしていた。この活動への執着と継続的な投資を示している。"
シュピーゲルの公式のアドレスは「spiegel.de」だ。だが偽装サイトは、ページデザインやロゴはそのままコピーした上で、「spiegel.fun」「spiegelr.today」といった本物と間違えやすいを使用していたという。
詳細はサイトで
https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20220929-00317238