少女たちよ、怒れ! 国際ガールズデーに思う、抑圧される「女の子」のこと|スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらしvol.13|ELLE ACTIVE! for SDGs|ELLE[エル デジタル]
https://www.elle.com/jp/culture/a41436835/hiromi-blomberg-lagom-vol13-2210/
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長い夏休みが終わり秋からの新学年が始まっても、クラスに戻ってこない子どもたちがいる。それは夏休みに両親の母国や親族が暮らす国に連れて行かれ、そこで強制的に児童婚をさせられたり、教育と称して隔離され閉じ込められたりして、スウェーデンに戻って来ることのできない少女たちのことだ。児童婚とは18歳未満の幼い年齢で結婚することで、これにより教育の機会を奪われ、幼い体での妊娠、出産で、命を落とす女の子も多い。なにより少女たちは婚姻を強要されるのだ。
民主主義やジェンダー平等への取り組みで世界をリードするスウェーデンは、文化や慣習の異なるさまざまな国の、さまざまなな境遇の人が共に暮らす場所でもある。私のすぐ近くにも、過酷な現実を生きている人、子ども、そして少女がいるという事実に、時として言葉を失う。
今年で10回目を迎える国連が採択した「国際ガールズデー(10月11日)」は、児童婚やジェンダー不平等、少女たちへの暴力や差別の禁止や、女子教育の普及など、世界中で女の子たちが直面している問題を強く訴えるために誕生した。「女性」や「子ども」というだけでも、多くの差別が存在するが、それが重なった「少女」となると、彼女たちが直面する状況は相乗的に悪くなる。世の中で最も脆弱(ぜいじゃく)な存在、それが「女の子」だ。
セーブ・ザ・チルドレンが昨年の国際ガールズデーにまとめた数字によると、児童婚による妊娠・出産で死亡する少女は、毎年2万2000人以上で、一日に60人もの女の子が幼い体での妊娠、出産が原因で命を落としている。そしてその半数は西アフリカと中央アフリカに集中している。
さらにパンデミックは、世界中の女の子たちの状況を悪化させた。新型コロナウイルスの大流行により、世界各国、特に貧しい国々で学校に行くこともできなくなった女の子たちには、結婚させられてしまう危険が増した。彼女たちが結婚してくれれば、家族は養う責任から解放される。気候変動で避難を余儀なくされる家庭や家をなくした家庭などでも、少女たちはぞんざいに扱われる例が後を絶たない。
(後略