スポーツ界の「ゆがみ」露呈 広告業界に過度な依存

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件は、スポンサー集めを広告業界に依存してきたスポーツ界の「ゆがみ」を浮き彫りにした。専任代理店となった広告大手「電通」が過去最高のスポンサー料を集める中、電通OBの大会組織委員会元理事が契約交渉に介入。スポンサー企業などから元理事側に不透明な資金が渡り、東京地検特捜部が認定した賄賂額は計約1億4200万円に達した。チェック機能が働かず不正を招いた構図も透けて見える。

「主役」は電通

組織委発足から3カ月後の平成26年4月。スポンサー選定を担う「マーケティング専任代理店」に、電通が選ばれた。大会全体を取り仕切る組織委の「実動部隊」は、国や自治体、関係企業などからの出向職員。電通からも多数の社員が組織委に出向した。

国際オリンピック委員会(IOC)の意向も踏まえ、電通と組織委はスポンサー料やスポンサー企業が提供するサービス内容を確定。それまでの「1業種1社」から、IOCの承認などがあれば複数社と契約できるよう原則を崩した結果、国内のスポンサー収入は五輪史上最高の3761億円に達した。

「五輪審判服を提供する企業の場合、試合中に服が破れた際の補修人員を何人確保するかなど、細かい打ち合わせも全部やった。スポーツビジネスのノウハウがある電通だからできた」。組織委に出向した電通関係者はこう振り返る。

https://www.sankei.com/article/20221002-3QPSVWEZPNPTRDOOOJP3TKLFHQ/