OPECプラス、200万バレル減産決定 11月の原油生産ペース

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスは5日の閣僚級会合で、11月の原油生産ペースを10月に比べて日量200万バレル減らすことを決めた。ロイター通信が伝えた。減産幅は新型コロナ禍の経済活動縮小に対応した2020年4月会合の1000万バレル(18年秋比)以来の大きさとなる。

 世界経済の減速懸念から足元で原油価格は低迷しており、OPECプラスは当面、需要の回復が見込めないと判断した模様だ。11月の生産ペースは現行計画の日量4385万バレルから大幅に減少する。ただ、足元の実際の生産量は、計画ペースを大幅に下回っており、今回の決定の効果は限定的との見方もある。

 国際的な指標となるニューヨーク原油先物相場は6月に1バレル=120ドル超をつけた後、9月には70ドル台まで低下した。OPECプラスは9月の閣僚級会合で、10月に日量10万バレルの減産を実施することを決めたが、価格回復には至らず、足元では80ドル台後半で推移している。

 欧米の経済制裁でロシア産原油も価格、輸出量が低下している。主要7カ国(G7)は9月、露産石油の取引価格に上限を設定することで合意しており、実施されれば、さらに露産原油の価格は低下する。これ以上の価格低迷を防ぎたいロシアとOPECの利害も一致した。

 一方、大幅減産で原油価格が上昇すれば、8~10%のインフレが続く米欧で、さらに物価上昇圧力が強まる。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月まで3会合連続で0・75%の大幅利上げを決めており、欧州中央銀行(ECB)も同月、1999年のユーロ誕生後初となる0・75%の利上げに踏み切るなど、各国中銀は大幅な金融引き締めを実施している。物価上昇と金融引き締めで世界経済がさらに減速し、原油需要が落ち込む懸念もある。

 11月に中間選挙を控えた米バイデン政権は、国内のガソリン価格を抑制するため、これまで再三、OPECプラスに増産を求めていた。今回の大幅な減産でOPECを主導するサウジアラビアと米国の関係が険悪化する可能性もある。【ブリュッセル宮川裕章】

https://news.yahoo.co.jp/articles/5d8337accc9375620707919a33a1c7587f766acd

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