和牛はサシの量より質の時代――。6日から鹿児島県で開かれている「全国和牛能力共進会(全共)」。5年に1度開催され、
「和牛五輪」と呼ばれるこの品評会で、脂肪の質に着目した出品区が新設された。背景にあるのは、消費者の嗜好(しこう)の変化だ。

【写真】華やかな夜の街から牛飼いへ 人生を変えた父からの手紙と彼女の一言

 全国で最も多く和牛が飼育され、全共で2017年、総合優勝にあたる団体賞に輝いた鹿児島県。鹿児島市内の鉄板焼き
レストランによると最近、最上級の格付けの中でもサシがとりわけ多い肉を見て、来店客が「アブラが強すぎる」と言う
場面によく出くわすようになったという。

 和牛は最上級から順に「A5」「A4」「A3」と格付けされる。サシ(脂肪)が多い上位の等級ほど高値で取引され、
生産農家はA5を目指して切磋琢磨(せっさたくま)してきた。消費者も見事な霜降り肉を喜んで食べた。

 しかし、最近は「脂身は太る」という客もいて、バーベキューなどでも脂肪分が少ない赤身肉が選ばれる傾向にあるという。

 そこで、和牛らしさは保ちつつ、おいしさを評価してもらえる品質として畜産業界が注目するのが「脂肪の質」だ。

 全共の新たな出品区の審査でも、オレイン酸など不飽和脂肪酸の含有率を重視して枝肉を評価。主催する
全国和牛登録協会は「新たな枝肉の価値観をつくり、定着につなげる」としている。

 不飽和脂肪酸を増やすコツについては未解明なことが多く、大会関係者は「どこが一番になってもおかしくない」と
声をそろえる。どの代表牛が上位を勝ち取るのか注目だ。(冨田悦央、中島健)

朝日新聞社

https://news.yahoo.co.jp/articles/4bb15f57ed0b84736c4cf584aa994fb4499ba719