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帳簿つけたら「事業所得」 所得税、副業促進に配慮 国税庁、基本通達案を修正
2022/10/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 930文字 PDF有 書誌情報

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 国税庁は、8月に公表した副業などに関係する所得税の基本通達の改正案を修正する。新たな通達では、帳簿書類がある場合は所得区分を「事業所得」に、ない場合は「雑所得」とする。従来案は原則、年間300万円以下の副業などの収入を雑所得とする内容だった。雑所得は他の所得と損益通算できないなど納税者に不利な点もあるため一部から反発が出ていた。
 今回のパブリックコメント(意見公募)には、7000件超の意見が寄せられるなど異例の関心が集まっていた。
 税法上、所得は給与所得や事業所得、雑所得など10種類に区分される。いずれも税率は同じだが、各所得区分により黒字と赤字を相殺する損益通算の方法などが違う。事業所得は他の所得との損益通算ができるが、雑所得はできず、納税者側に不利になることがある。
 国税庁は8月、「収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証(納税者側の証明など)のない限り、雑所得と取り扱って差し支えない」とする改正案を公表。これに対し「真面目に帳簿を付けて事業をしている場合は事業所得と認めるべきだ」、「副業を推進する政府方針に逆行するのではないか」などの意見が寄せられていた。
 こうした意見を踏まえ、国税庁は再検討。原則的に「本業」「副業」などは区別せず、帳簿書類などを適正につけている場合は、収入金額に関係なく事業所得として扱うことにした。帳簿書類がない場合は、収入金額が300万円以下なら雑所得とし、300万円超の場合でも極端に規模が大きいなどの例外を除き、原則的に雑所得にする。
 ただし帳簿があっても、収入金額が300万円以下でかつ本業の収入の1割未満の場合や、赤字が続いているにもかかわらず赤字解消のための取り組みを進めていない場合などは、状況により個別に判断する方針だ。
 国税当局は、サラリーマンが副業で多額の赤字を計上したうえで損益通算し、本業の所得を減らす「副業節税」などを問題視している。こうした条件を付けることで、極端な副業節税は防げると判断したとみられる。
 通達は国税庁の内規で、法律ではない。こうした取り扱いを不服とした納税者が訴訟を起こした場合は、事業実態を裁判所が総合的に判断することになる。
(企業税務エディター 川瀬智浄)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC262E60W2A920C2000000/#:~:text=%E5%9B%BD%E7%A8%8E%E5%BA%81%E3%81%AF%E3%80%818%E6%9C%88%E3%81%AB,%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82