ドイツ鉄道で「破壊工作」か 通信障害で一時運休

【ベルリン=南毅郎】ドイツ北部で8日、通信システムの障害で列車の運行がおよそ3時間にわたり止まるなど、鉄道網で大規模な混乱が発生した。独メディアによるとドイツ鉄道や政府は通信ケーブルへの破壊工作が原因とみており、警察当局が犯罪捜査に乗り出している。

ドイツ北部のベルリンやハンブルク、ハノーバーなど主要駅で多くの乗客が足止めされた。およそ3時間にわたり列車の運行が一時停止し、復旧したものの運休や遅延が相次いだ。長距離の高速鉄道「ICE」に影響が出たことで、ドイツ国内の移動手段が一時寸断。オランダ・アムステルダムなど隣国の都市につながる列車にも混乱が生じた。

列車の運行に必要な通信システムで障害が発生した。独DPA通信によると、ベルリン郊外と西部のノルトライン・ウェストファーレン州で通信ケーブルの損傷が確認されたという。ウィッシング運輸・デジタル相は記者会見で「通信ケーブルが2カ所の異なる地点で故意に切断された」として、破壊工作だった可能性を示している。

欧州ではロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」で複数の損傷が生じたばかりで、ロシアによる破壊工作を視野に各国が真相究明を急いでいる。ドイツ鉄道で生じたシステム障害の背景は現時点で不明だが、重要インフラが標的になるリスクが改めて浮き彫りになった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR091O80Z01C22A0000000/