安倍晋三・元首相が銃撃された事件をきっかけに批判が集まる宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の高額献金の仕組みについて、家庭連合の元幹部が読売新聞の取材に実名で証言した。地域ごとに献金のノルマがあり、信者には過度な重圧があったと指摘した。

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元幹部は、1998年から旧統一教会の本部で勤務し、2016~17年に2世信者の教育を担当する家庭教育局の副局長を務めた桜井 正上まさうえ 氏(48)。同年に家庭連合を批判する文書を出して解任され、現在は別の団体に所属している。

桜井氏によると、献金には、礼拝などの際に収入の10分の1を納める月例の「十一条献金」、結婚した際の「祝福献金」のほか、「特別献金」がある。

特別献金は、期間と金額の目標が定められ、信者数に応じて都道府県をベースとした「地区」ごとにノルマが割り振られる。一般信者にノルマは知らされず、教会の幹部らが対面やファクスで献金を求めるという。

00年前後には、先祖の苦しみを解放する「先祖 解怨かいおん 」という以前の教義にはなかった教えが広められるようになった。

関東地方の元信者の女性(60歳代)は取材に、5年前に夫婦の「7代分」の「解怨」として計280万円を納めたと証言する。420代前まで続ける必要があると説明を受け、21~28代前までの献金などを含め、献金総額は500万円を超えた。「仕事や子育てに悩み、先輩信者に『戦死した先祖が苦しんでいるからだ』と何度も言われ、信じてしまった」と悔やむ。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221016-OYT1T50222/