【北京・坂本信博】5年に1回の中国共産党の最重要会議、党大会が16日に北京で開幕する。北京市内では、習近平党総書記(国家主席)が掲げる「新時代」の始まりを演出する飾りが設置される一方、会場の人民大会堂が見えるビルでは窓に目隠しを施したり、テラスの出入りを制限したりする措置が講じられている。習体制の異例の3期目続投が決まる大会だけに、当局は厳重な警戒態勢を敷いている。
9月下旬、北京市中心部に立つ52階建ての超高層ビルでは、人民大会堂や習氏ら共産党指導部が執務する「中南海」が見える部屋の窓に、調光フィルムを貼る作業が突然始まった。普段は透明な窓が、外部操作によって一瞬で真っ白に曇る仕組み。ビルの関係者は「政府の指示で党大会中は視界を遮断することになった。他の高層ビルも同様の要請を受けている」と明かす。ビルから人民大会堂までの距離は約7キロあり、住民の男性は「明らかに過剰反応だ。北京の青空が一番美しい季節なのに」と憤る。
人民大会堂に近い別のビルでは、公安当局からの求めでテラスへの出入りをカードキーで制限する装置が設置された。1台1万円近くする装置は会社側が全額負担。カードキーは公安当局が管理するという。
北京市内の各所には「喜んで第20回党大会を迎えよう」という看板や、習氏が掲げる社会主義現代化国家の「新しい章の建設」を呼びかける草花のモニュメントが登場。それらを好意的に受け止め、スマートフォンで撮影する市民の姿がある一方、党大会を前にインターネットの通信速度低下や入市制限など統制が強まっていることに不満を持つ人も多い。
一連の規制強化について北京のメディア関係者は「習氏の体制は既に盤石だが、公安当局や地方政府の幹部は、万が一問題が起きたら責任を取らされることを恐れて治安対策を強化している」と話した。
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