主要国で最も労働時間が長い米国で、企業や州政府が強制的に休暇を取らせる動きが相次いでいる。深刻な人手不足が続くなか、好待遇で人材を確保したい企業の思惑に加え、新型コロナウイルス流行をきっかけに強まっている労働者の健康管理を重視する風潮が後押ししているようだ。
最近、米国を中心に「Quiet Quitting(静かな退職)」という考え方が話題になっている。
動画共有アプリ「TikTok」などで飛び交うこの言葉。実際に仕事を辞めるわけではないが、仕事以外のことに重点を置く生き方を意味する。
例えば、会社からの休日の電話には出ず、時間外労働も引き受けない。決して仕事をサボるわけではなく、「それなり」に働き、あとは自分の時間を充実させる。こうした考え方はコロナを機に広まり、30代以下の若い世代で支持を集めているという。
怠慢だ、生産性が低下する、など批判もある。ただ、中国でも仕事や生活を頑張らない「寝そべり族」が若者を中心に増えているという。労働をめぐる変化が、休暇制度だけではなく、働き方そのものに広がりつつある。仕事以外の生きがいに、より一層、目を向けていく時代なのかもしれない。
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