大阪府警に保護された統合失調症の30代男性が死亡したのは、病院に移動する車内で警察官に押さえつけられて窒息したのが原因だとして、男性の遺族が府に約4280万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。大阪地裁で19日、第1回口頭弁論があり、府側は請求を棄却するよう求めた。

 訴状などによると、男性は2019年11月、大阪市北区のコンビニで大声を出し、通報を受けて駆け付けた天満署員に保護された。男性は、かつて入院していた病院への再入院を希望し、署員から連絡を受けた男性の父親も同意。警察の車で病院に向かった。

 ただ、男性が移動中の車内で暴れたため、警察官はうつぶせ状態にして後部座席に押さえつけた。約20分後、動かなくなり、脈もないため119番通報。男性は心肺停止状態で救急搬送され、約3カ月後、蘇生後脳症による多臓器不全で死亡した。この警察官は業務上過失致死容疑で書類送検されたが、不起訴処分になったという。

 原告側は、制圧自体はやむを得なかったが「呼吸の有無を頻繁に確認すべきだった」と主張。この警察官の過失によって死亡したと主張している。府警監察室は「係争中なのでコメントは差し控える」とした。(森下裕介、荻原千明)

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