New York University professor fired after students say his class was too hard
https://www.theguardian.com/us-news/2022/oct/06/nyu-professor-fired-maitland-jones-jr-student-petition
https://gigazine.net/news/20221007-nyu-students-blaming-poor-test-scores/
どこの大学でも「あの教授の講義は難しすぎる」「テストの採点が厳しすぎる」などと言われ、学生から苦手に思われている教授がいるものです。
アメリカの名門校・ニューヨーク大学では、有機化学を教えていたメイトランド・ジョーンズ・ジュニア教授に対して80人以上の学生が「授業が厳しすぎる」と訴えを起こし、
ジョーンズ氏が解雇されてしまう事態に発展。化学部の教授からは大学当局に対する反発の声が上がっています。
ジョーンズ氏は数十年にわたりプリンストン大学で有機化学を教えてきた人物であり、
有機化学の教科書執筆にも携わり、暗記ではなく問題解決に焦点を当てた指導法を開拓したと評されています。
2007年にプリンストン大学を退職した後はニューヨーク大学に移り、2017年には「ニューヨーク大学の最もクールな8人の教授」にも選出され、
84歳になった2022年の時点でも有機化学を教えていました。
ところが2022年の春、有機化学の授業を受けていた350人のうち82人が、ジョーンズ氏の授業が厳しすぎるという請願書を大学に提出。
大学当局は成績の見直しおよび遡及的にクラスを受けなかったことにする措置を例外的に認め、
2022年の秋学期になる前にジョーンズ氏との契約を終了しました。
学生の請願書を重く見てジョーンズ氏を解雇するという決定は、化学部の教授たちやジョーンズ氏を支持する学生からの反発を引き起こしました。
化学部教授のパラムジット・アローラ氏は、「学長たちは明らかに利益を追求しており、大学について素晴らしいことを言ってくれる幸せな学生を集めることを望んでいます。
そうすればより多くの人々がニューヨーク大学を受験し、大学ランキングはどんどん上がっていくからです」と指摘しています。
日刊紙のニューヨーク・タイムズのインタビューに対し、ジョーンズ氏は
「学生たちは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいて勉強を怠っており、学力が急速に低下していた」
と主張しました。
そもそも試験問題のテキストを誤読する学生が多く、
試験の難易度を下げたにもかかわらずテストの点数が一桁だったり、0点だったりする学生もいると述べています。
パンデミックによる学習の遅れに対処するため、
ジョーンズ氏は5000ドル(約72万円)もの自腹を切って、他の教授と協力して52もの有機化学講義を録画したり、オンラインのミーティングを開催したりしたそうですが、それでも学力の低下は進んだとのこと。
ジョーンズ氏と同じ化学部教授であるケント・キルシェンバウム氏は、オンラインテスト中に不正行為をする学生を発見した上に、
不正行為を指摘して成績を下げたら学生から「この成績では医学部に入れない」と抗議されたと証言しています。
2022年の春学期から大学はCOVID-19の規制を緩めましたが、ジョーンズ氏は「学生たちは授業に来ていませんでした」「彼らはビデオも見ていなかったし、質問に答えることもできませんでした」と指摘しています。
ジョーンズ氏の授業でティーチング・アシスタントを務めたZacharia Benslimane氏は、ニューヨーク・タイムズへの電子メールで
「この請願書は不公平に扱われているという感情ではなく、試験の点数に対する不満から書かれたものだと思います」
「授業に対して一貫した不満を述べている学生は、私たちが彼らに提供したリソースを使用していないことがわかっています」
と述べてジョーンズ氏を擁護しました。
授業を受けた学生のRyan Xue氏は、ジョーンズ氏は好感が持てる刺激的な人物だと語っています。
「これは大きな講義であり、『除草クラス(単位を落とす学生が多いクラス)』であるという評判もあります」
「だから最高の成績を取れない人も現れます。請願書のコメントの中には、その人がとった成績に大きく左右されたものがあるかもしれません」
と述べました。