脱毛による容貌の変化は患者さんにとって大きな心理的負荷になる。ただし、発症時期によっても受け止め方が異なると植木医師は話す。結婚後や社会的にある程度地位が確立されてからの発症では、それほど隠さずに過ごす傾向もあるという。

とくに男性はここ10年ほどで社会的にスキンヘッドへの理解が進み、仕事や生活のなかでさほどデメリットではなくなってきた。ウイッグを着用しない人も増えているという。

「円形脱毛症への理解が進んだわけではないと思いますが、スキンヘッドへの理解は進んでいて、いま、男性患者さんの半数以上は治療せず、スキンヘッドのまま過ごしています。治療にお金や時間をかけ、副作用を心配し、1回良くなっても治療をやめたらまた抜けてしまう。そうしたことがかえってつらいので、治療しないでスキンヘッドでいたほうが不安やストレスもない、ということのようです」(植木医師)

一方で、女性患者の多くは脱毛を見られたくないため、ほとんどの人が日常生活や職場などではウイッグを着用している。家ではニット帽、気のおけない仲間の集まりではスキンヘッドなど、使い分けている人も多い。

ウイッグ選びも重要だ。医療用かつらは30万円前後と高額で一般的な耐用年数は2、3年。そのたびに買い替える必要も出てくる。近年はこうした医療用かつらの代わりに、数千円の安価なおしゃれウイッグをうまく使いこなしている人も多いという。

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