欧州で極右躍進 かつて「民主主義の脅威」 伊政権

 【パリ時事】「イタリアの同胞(FDI)」を率いるメローニ党首の首相就任をはじめ、欧州ではスウェーデンやフランスなどで「極右」とされる政党の躍進が相次いでいる。

極右躍進の背景として、専門家は、経済問題や移民流入が一因だと分析する。
一方で「民主主義の脅威」と恐れられたかつての姿からは今の欧州極右は変容しているとも指摘される。

 スウェーデンでは17日、「反移民」を掲げる極右のスウェーデン民主党の閣外協力を受ける右派連立政権が誕生。
6月のフランス下院選では、極右政党「国民連合(RN)」が勢力を大幅に拡大した。

 仏国際関係戦略研究所(IRIS)で極右思想を研究するジャンイブ・カミュ氏は、極右の勢力拡大には「米国や中国の経済的台頭」が背景にあると指摘する。
「欧州が世界の中心でなくなり、立ち位置を見失っている」と分析。
そこに中東やアフリカからの移民が大量に流入し「自分たちのアイデンティティーが分からなくなり、過激な移民排斥が支持を集めた」と話す。

 極右とされる勢力がさらに拡大すれば「外国人にとっては厳しい状況になるだろう」とカミュ氏は予想する。
RNを率いるルペン氏は、外国籍者への福祉手当廃止を主張。メローニ氏も移民排斥を掲げる。

 ただ、第2次大戦前の欧州のように「民主主義が崩壊する可能性は低い」とカミュ氏は考えている。
ルペン氏は、実父ジャンマリ氏の過激な人種差別的イメージを排除し、穏健化路線に転じる「脱悪魔化」戦略を実践。
メローニ氏もかつてのファシスト色を封印し、欧米との連携を主張する姿勢を前面に出してきた。
こうしたRNやFDIの現在を念頭にカミュ氏は「政党発足当初の姿とは区別して考えなければならない」と指摘した。

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