国力低下の下で進んだ超円高
それは、ほとんどの国の通貨が、対ドルで下落を続けていることでも明らかだ。
すべての国で国力が落ちているはずがない。米国の国力が向上しているとも言えない。

また、生産性上昇率や潜在成長率で国力を測るというのであれば、バブル崩壊以降、
両者は低下トレンドを辿っている点に注目する必要がある。その中で、1ドル100円を超える円高、
2008年のリーマンショック(グローバル金融危機)後には、70円台までの超円高が生じたのである。
この円高を、日本の国力の向上の結果と考える向きはいないだろう。

生産性上昇率や潜在成長率が低下すると、賃金上昇率や物価上昇率のトレンドは低下しやすくなると考えられる。
そうなれば、他国に比べて物価上昇率が低い国の通貨の価値は高まる。それは、購買力平価の考え方に基づく。

このように、生産性上昇率や潜在成長率が低下し、国力が低下している国こそ、
通貨高に見舞われやすいのである。この点から、「通貨安は国力低下の表れ」と考えるのは誤りだ。

貿易・経常収支の悪化が為替需給に与える影響は小さい

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木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト)、元日本銀行政策委員会審議委員。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0462e5faf7b95a5263d4db10d092ec261573cab