SNSに続出する「自称参謀」たちの未来とは? 帝国陸軍7名の「先輩」の戦後から探る(レビュー)(Book Bang)
https://news.yahoo.co.jp/articles/458863faebe3d96d107d9f806e22a2f65e994f55
石原莞爾、辻政信、瀬島龍三……「日本の頭脳」たちの栄光と蹉跌に迫った新書『昭和の参謀』(講談社)がベストセラーとなっている。遺族、関係者の証言をもとに、軍服を脱いだ後の生き様にも迫り、日本社会にとって、参謀とは何だったのかを考える本作を、評論家・與那覇潤氏が、日本人の心性を看破しつつ、紹介する。
***
令和の世相から痛感するのは、日本人は「バーチャルな戦争」が大好きだということだ。新型コロナが流行すれば「ウイルスとの戦争」だと言い募り、ロシアが開戦するやSNSのプロフィール欄にウクライナ国旗を掲げて「参戦」する。もちろん本人は、安全な国の快適な自室でモニターを眺めているだけである。
よく知られているとおり、こうした人々はしばしば「参謀」になりがちだ。従来はなんの興味もなかった話題でも、にわかに仕入れた情報で「とるべき戦略はこうだ」「従わない者は非国民」と呼号し出す。昭和のリアルな戦争と異なり、日本で過ごす分には間違えても頭上に爆弾は降って来ないからこそ、私たちの「参謀しぐさ」はますます歯止めを失っている。
(後略