10年付き合った彼氏に「なんでいまだにプロポーズしてくれないの」と問い詰めたのは、それが午前3時で、私がお酒をたくさん飲んでいたからだ。

私たちは強い絆で結ばれていて、幸せで、本当に愛し合っていた。だから、彼がいつまでも何も言ってくれないのは、素面のときでも馬鹿げているように思えたし、酒が入るとますますそう思った。

私がいつまでも聞き続けたから、彼のなかでプツンと糸が切れたのだと思う。彼が私に秘密を打ち明けたのは、そのときだったからだ。

目が覚めると、彼はいなかった。私は彼のWhatsAppのステータスを、まるで病気で苦しんでいる親戚の心電図でも見るかのように、じっと見ていた。それが「オンライン中」になった途端、私は彼に電話をかけ、家に帰ってくるよう頼んだ。話し合うために。半分に折ったA4の紙に、読めない字で殴り書きした質問に答えてもらうために。

彼は血の気の引いた顔をしていた。「何を言おうとしていたの?」と私は尋ねた。希望は捨てていなかったが、酔いが覚め、頭がクリアになってくると、物事がまったく違って見えてくるのを痛切に感じていた。

「ジェンダーアイデンティティの問題を抱えているんだ」と、彼はついに言った。目線は床に落ちたままだった。「ただ……自分が男だっていうアイデンティティが持てないんだ」

喉がつまったような感じがした。何を聞かされているのか信じられなかった。

「じゃあ、何がアイデンティティだっていうの?」。パニックを起こしていた私は感情的に尋ねた。

「わかんないよ……たとえばノンバイナリーとか……それか」。ああ神様、彼は何を言おうとしているの、と私は思った。「トランスか」

それを聞いても、私は「これは現実ではない」という気持ちでいっぱいだった。

でも、私はもうわかっていた。冷静に、強烈に、確信した。もうおしまいだ。私たちは終わったのだ。そう伝えると、彼は「どうして?」と聞いた。

「私はいられないから……女の人と一緒にいたくないから」

その事実がこれほど明白であることが自分でも驚きだった。他のすべてが突然、取るに足らないことのように思えた。

「でも、これがどうなっていくのか、自分でもまだわからないんだ」と彼は言った。「まだ何にもわからない。でも、君との関係が自分のジェンダーよりも大事だっていうのは確かなんだ」

私は彼に、似たような問いばかりを繰り返した。それはこれからどうしていくかを決めるためだったが、質問し、彼の答えを聞くたび、心のカーテンが閉まるような思いだった。

まもなく姉が迎えにきた。私はなぜ姉に「迎えにきて」と頼んだのか、なぜスーツケースを持っているのかを説明しようとした。もちろん、姉は何か問題が生じたことは知っていたが、その深刻さまではわかっていなかった。

「彼は……彼は……自分が………ランスかもしれないと思うって」

私はその言葉を口にできなかった。

「何? なんて言ったの?」

「彼は自分がトランスかもしれないと思うって」

姉と私は、雨に濡れた石畳の薄暗い道路に立ち尽くし、泣いた。姉の涙が私の肩に流れ、私の涙が姉の肩に流れた。私たちは車で姉の家に帰った。私は黙って、呆然としながら、雨水が車のブレーキライトの光を滲ませるのを見ていた。


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