https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20221001/3080009832.html

「蘇生望まない」指示書で救急隊は措置中止 岐阜県で運用開始

重い病気を患う高齢者などが、みずからが心肺停止になっても蘇生を望まないというケースについて、岐阜県では、あらかじめ本人の意思を明記した書類を作成した上で、これが示された場合、救急隊員は蘇生措置や搬送を中止するという新たな運用が1日、始まりました。

重い病気の患者や高齢者が蘇生を望まない場合の救急対応について、岐阜県では救急隊員や医療・福祉の関係者などが検討を重ね、本人の意思を確認できる「医師の指示書」の導入を決めました。
「指示書」は本人が蘇生を希望しない場合に、家族やかかりつけ医と話し合いを重ねた上で作成し、家族などが保管します。
そして1日から、家族などが「指示書」を示した場合は、救急隊員はかかりつけ医に連絡した上で、蘇生措置や搬送を中止するということです。
ただ、「指示書」は記入後に撤回もできるほか、交通事故など、当初の想定とは異なるかたちで心肺停止となった場合は無効となります。
制度の検討を進めた中濃厚生病院の名知祥医師は「明確なルールに基づいて、本人の意思を尊重できることがメリットだ。救急隊も活動しやすくなる」と述べました。
一方で名知医師は「ある時点では蘇生を望まなくても、考えが変わることもある。本人の意思がうまく反映されないことがあってはならないので、意思が明確な間に、本人がどのように最期を迎えたいのか、話し合うきっかけにしてほしい」と指摘しています。
「医師の指示書」は名古屋市などでもすでに導入されていますが、全県で運用されるのは珍しいということです。