そんなカルーアに、縁談の話が持ち上がった。オタリアの中長期的な繁殖を目的とした個体交換の計画が動き出したのである。
当館のオタリアは、開業時からメス2頭で飼育展示を行っていたため、メス1頭とグループ施設である横浜・八景島シーパラダイスにいるオス1頭を交換することに決まった。
2020年7月、オスのチェンが婿入りし、ついにカルーアとチェンの繁殖に向けた取り組みがスタートする。チェンが環境に慣れるのを待って、11月にお見合い。
チェンはカルーアに好意的で、積極的にアピールする姿が多くみられた。
カルーアは当初、かなり警戒している様子だった。それでも一緒に過ごす時間を徐々に増やしていくと、1か月後には体を寄せ合うなど、打ち解けた様子が確認できるようになった。
繁殖期を迎えた翌2021年6月、2頭の交尾が確認できた。
その後、カルーアは定期的な検査を実施していたが、しばらくの間、血液検査でのホルモン値の変動は見られず、見た目の変化もあまりなかった。
今年の春先、少しずつ体重の増加や、普段と異なる行動をとるといった小さな変化が現れるようになった。
そして、4月に健康診断の目的で行ったエコー検査で、カルーアの体内に小さな動くものを確認した。カルーアに赤ちゃんができたのである。喜びで胸がいっぱいになった。
https://kahoku.news/articles/20221013khn000041.html