「こんな言葉は侮辱」「これを超えたらアウト」などのボーダーラインはありますか。

清水 実は、「これが誹謗中傷だ」という明確なラインは、ありません。

―え、そうなんですか?

清水 まずお話ししたいのが、《誹謗中傷》とは法律用語ではない、ということ。一般の方々にとって、誹謗中傷は「自分にとって不快な言葉すべて」という認識だと思うんですね。

 しかし、私たち法律家は「不快な言葉を受けたことが、法律上の何にあたるのか」を見ます。具体的には、名誉毀損、名誉感情侵害、プライバシー権侵害などです。

言葉の「背後」にあるものを見る
――名誉毀損と名誉感情侵害は、どう違うのですか。

清水 名誉毀損は「他人が自分に与える評価」で、社会的評価の低下を招くものとされています。

 一方、名誉感情侵害は「自分が自分に与える評価」。わかりやすく言うと、不快感や嫌悪感など、自分の感情ですね。
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