国内最大級の複合書店「コーチャンフォーつくば店」が10月、茨城県つくば市学園の森3にオープンした。インターネットで気軽に本が買える一方で多くの書店が苦境を迎える今の時代に開店した大型店舗はどんなところなのか――。【信田真由美】

開店3日前の10月17日に訪れると、従業員が品出しを進めていた。多くの本が、背表紙でなく表紙が前面に見えるように陳列されている。「面陳」とも言われる置き方でタイトルや装丁がよく目に入る。1階が駐車場で、売り場は2階のワンフロア6600平方メートルと、ぜいたくに土地を使える大型郊外店ならではの見せ方が新鮮だ。運営会社「リラィアブル」(本社・北海道釧路市)の近藤隆史関東支社長は「宝探しのような発見をしてもらいたい」と狙いを語る。

コーチャンフォー(Coach&Four)は英語で「4頭立ての馬車」という意味で、書籍、文具、音楽・映像、カフェの4部門を表している。売り場の半分を占める書籍は50万冊そろい、市立中央図書館の蔵書数30万冊を上回る。CDやDVDなどは6万点、文具は10万点を扱う。店内のドトールコーヒーも、ドトールとしては全国最大規模で、近藤さんは「四つ全てが日本最大級だ」と胸を張る。北海道産の食材を扱うマルシェもある。

コーチャンフォーは、1997年に札幌市内で1号店を開業したのを皮切りに、2011年までに北海道で6店舗をオープンし、14年に道外では初めて東京都稲城市に進出した。関東エリア2号店の出店につくば市を選んだのは、広い土地があって人口も増加しているからという。

というのも、郊外型の立地を活用した圧倒的な商品数と在庫量がコーチャンフォーの強みだからだ。新刊は、専門書以外は有名でない著者の作でも取り寄せ、レジの近くの新刊コーナーに並べる。点数の多さを武器に多様な客を集める中で、業界で平均3~4割という返本率を低く抑えられているという。それが出版社に評価されて「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」など売れ筋の商品も仕入れやすい好循環が生まれ、「出版不況でも売り上げは右肩上がり」と近藤さん。

つくば店の玉村武美支店長は「スマホで簡単に欲しい本が手に入る時代だが、多くのアイテムを取りそろえていろいろな発見ができる場にしたい」と意気込む
https://mainichi.jp/articles/20221104/k00/00m/020/018000c