角田さんは幼い頃から吃音があり、連発の症状が目立つ。高校は通信制に進んで自宅学習が多かったために、周囲からしゃべりを指摘されることもなかった。

 算数や数学の勉強が好きで、学校のテストは満点ばかりだった。「『必然』の法則が支配し、若手でも実力で評価される」と考え、数学に魅力を感じていた。

 有名大学に進学し、学部3年から、修士課程に飛び級をした。20代で理学博士の学位も取り、大学院で執筆した論文の雑誌掲載数は7本に上った。指導教員は「この30年で一、二を争う才能だ」と言ってくれた。

 ただ、学会発表などで吃音があることを知らない他大学の教員や学生と接する機会が増えると、コンプレックスを抱き始める。飲み会などでまねをされたり、他大学の教員に「流ちょうにしゃべったほうがいい」と指摘されたりもした。