https://www.asahi.com/sp/articles/ASQC60FG2QC1UHBI02Q.html
11月8日に実施される中間選挙に向け、米国で選挙制度への「信頼」が揺らいでいる。2年前の大統領選でトランプ前大統領が敗れたのは、不正があったからだと信じる人たちがいるためだ。

 再び「不正」が起きるのではないか――。そんな疑念を持ち、選挙のやり方を一変させた町があると聞いて、ネバダ州を訪ねた。

ラスベガスから車で西に1時間あまり。砂漠地帯を抜けた先にあるナイ郡には、共和党支持者が多い田舎町が点在する。

 「今回、ナイ郡では電子投票からすべて紙の投票用紙に切り替えました。票も手作業で数えることにしたのです」と選挙事務を担う郡書記官のマーク・カンフ氏(68)は言った。理由は「2年前の大統領選を機に、人々が機械を信用しなくなったからだ」という。

 ナイ郡は、前回大統領選でトランプ氏が7割の票を集めた地域だ。バイデン氏の勝利には、いまも納得しない共和党員が多い。中間選挙を控えた今年、共和党が主導する郡政委員会の提案で、「紙」と「手集計」の導入が決まった。

 前回まで投票所にはタッチパネル式の電子投票機が並んでいたが、原則手書きの投票用紙になった。マークシート式の投票用紙は機械で集計するが、改めて手作業でも数え直す。