https://news.yahoo.co.jp/articles/adfc36ee1f6013e358699cb7fa2814c5b1aa7eed

山形国際ドキュメンタリー映画祭の東京上映開催。受賞作&注目作ずらり。ウクライナの女性監督キラ・ムラートワ小特集も!

山形国際ドキュメンタリー映画祭の東京上映イベント〈ドキュメンタリー・ドリーム・ショー ─山形 in 東京 2022〉が、11月5日(土)より新宿K's cinema、アテネ・フランセ文化センターで開催される。
隔年で開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭の翌年に、東京で行われる恒例イベント〈ドキュメンタリー・ドリーム・ショー〉。昨年の同映画祭はコロナ禍によりオンライン開催だったため、今回の東京上映はついにスクリーンで鑑賞できる機会となる。プログラムは映画祭出品作を軸に独自編成した全45本。
〈主な部門と上映作品〉
「カマグロガ」
■インターナショナル・コンペティション
パンデミックの渦中にもかかわらず1000本を超える応募があった。ドキュメンタリー映画の最先端を行く意欲作が揃った、ヤマガタの顔とも言えるプログラム。併せて過去の関連作も上映。
アルフォンソ・アマドル監督「カマグロガ」(★山形市長賞)
バレンシア地方で、古代エジプト時代から食用にされてきたタイガーナッツを代々生産してきた農家。家族で農作業を続ける姿を1年間丁寧に追った。時代の流れに抗いながら土を耕し続ける農家としての矜恃が、土地の歴史とともに伝わってくる。
アヴィ・モグラビ監督「最初の54年間 ― 軍事占領の簡易マニュアル」(★審査員特別賞)
イスラエルがパレスティナのガザとヨルダン川西岸を軍事占領する手法を、軍事マニュアル形式で詳らかする。監督が理事を務めるNGO〈Breaking the Silence〉が集めた元イスラエル兵の証言で構成し、軍事的論理がはびこる日常に警鐘を鳴らす。
カロリーナ・モスコソ・ブリセーニョ「ナイト・ショット」(★優秀賞)
8年前に自身が被ったレイプ事件は、加害者が容疑否認したまま不起訴となり、被害者の心身をさらに傷つけるような警察や医療機関に対する不信感だけが残された。映画学校の学生だった監督は、事件後も日記のようにカメラを回す。性暴力を受けた心身をどう生きるのか、出口の見えない旅を始めた監督の到着地に見る者もともに立ち会う。
奥谷洋一郎監督「ヌード・アット・ハート」
巡業するストリップ劇場の踊り子は、楽屋で寝泊まりしながら10日ごとに次の地へ移動する。舞台の袖で見せる素顔、楽屋での日常、ストリップに託す思い、家族への愛情、すべてが一期一会の風景の一部として記録される。「Odoriko」(2020)の国際共同製作版。
■アジア千波万波
「リトル・パレスティナ」
ドキュメンタリー映画作家・小川紳介が提唱した、アジアの若い作家たちを発掘、応援する部門。今回は新型コロナウイルスによるパンデミックをテーマに据えた作品も散見される。アピチャッポン・ウィーラセタクン、河瀬直美、小田香など多くの映画作家を輩出した。
「リトル・パレスティナ」(アジア千波万波 ★小川紳介賞)
監督の出身国シリアのヤルムーク・パレスティナ難民キャンプの2013〜2015年の日常生活を描く。シリア情勢の悪化から道路は遮断され食料も底をつき、爆撃で命を落とす人も絶えない。人々はただ歩くしかない。
「メークアップ・アーティスト」(アジア千波万波 ★奨励賞)
メークアップ・アーティストの勉強をするため、大学に通うことを条件に結婚したミーナ。夫や義母の猛反対にもめげず、あの手この手で道を切り開き突き進み、次第に周囲も変わっていくように見えたが……。
「心の破片」(アジア千波万波 ★特別賞)
ミャンマー、カヤー州、紛争が続く限り、世代は違えど女性が性暴力と隣り合わせであることは変わらない。監督と一人の年上女性、それぞれの思いが、森に重く静かに語られる。
■ウクライナの異邦人、キラ・ムラートワ
「無気力症シンドローム」
不遇なソ連時代を過ごし、ウクライナで映画制作を続け、YIDFF 93に審査員として参加したキラ・ムラートワ監督(2018年に逝去)の小特集。「無気力症シンドローム」は約30年ぶりの日本上映!
「無気力症シンドローム」
「長い見送り」
■未来への映画便より
YIDFFでは2020年9月より、「10代のための映画便」と題して、高校生や大学生を対象にして過去の受賞作を紹介し、映画を鑑賞した人々から届いた意見を紹介してきた。今回は、他者に耳を傾けることそのものにフォーカスした新作2本を上映する。
クレール・シモン監督「若き孤独」
チョン・ジェウン監督「語る建築家」(「子猫をお願い」監督の初ドキュメンタリー)