東京都 地球温暖化想定し防潮堤かさ上げ計画案 全国で初
11月07日 14時57分

東京都は地球温暖化による海面上昇や台風の強大化を想定に入れた防潮堤のかさ上げ計画を全国で初めてとりまとめ、7日からパブリックコメントを実施し、順次工事を進めていく方針です。

国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」の最新の報告書では、2100年までに世界の平均気温が産業革命前と比べて2度上昇した場合、平均海面水位が2014年までの20年間の平均と比べて最大でおよそ60センチ上昇するなどと予測され、高潮被害の深刻化が懸念されています。

都は、現在、東京湾に総延長およそ60キロ、最も高い所で8メートルになる防潮堤を設けていますが、地球温暖化による海面上昇や台風の強大化を想定に入れて、今ある防潮堤をかさ上げする計画の案をまとめました。

専門家などとのシミュレーションを踏まえ、防潮堤がかさ上げされる距離は全体の半分のおよそ30キロで、かさ上げの高さは豊洲地区で60センチ、晴海地区で80センチ、東部地区では最も高い1.4メートルなどとなっています。

都は7日からこの計画の案を提示したうえで、都民に広く意見を求めるパブリックコメントを実施し、今後、優先度が高いと判断した所から工事を進めていく方針です。

国土交通省によりますと、地球温暖化を踏まえ防潮堤のかさ上げが計画されるのは全国で初めてだということです。

今回、防潮堤のかさ上げの案が示されたのは、東京都の「東京湾沿岸海岸保全基本計画」です。

これは高潮を防ぐ防潮堤などの施設の整備や利活用の方針を示したもので、国の法律に基づいて平成16年に策定されました。

今回、主に防潮堤の整備方針の部分が改定され、地球温暖化による海面上昇や台風の強大化を念頭に具体的にどの部分の防潮堤をどの程度かさ上げするかが示されました。

【背景】。

きっかけになったのは、国の動きです。
国は、温暖化の進行で、2100年までに海面が上昇すると予測する国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルの報告書を踏まえ、今後、全国で高潮被害の深刻化が懸念されるとして、おととし、都道府県に対して、温暖化の影響予測を踏まえて海岸の防災計画を策定するよう求めました。

さらに、去年には、都道府県に対し、対応を急ぐよう、令和7年度までに計画を策定することが閣議決定されました。

【想定は】。

こうした中、都は、まず、専門家の議論を踏まえて2100年までに気温が2℃上昇する想定で、高潮のシミュレーションを行いました。

具体的には、海面は最も深刻とされるおよそ60センチ上昇することを基準にし、台風は昭和34年に大きな被害をもたらした「伊勢湾台風」を上回る勢力のものを想定しました。
さらに、上陸までのルートも3つ想定し、最悪の被害をシミュレーションしました。

その結果、都が現在、東京湾に設けている総延長およそ60キロ、最高8メートルの防潮堤では、将来的に、被害を防げない可能性があることがわかったのです。

※略※

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20221107/1000086522.html