愛知の中3刺殺 加害少年の特性見逃した点問題視 検証委が報告書
11/7(月) 21:26配信
愛知県弥富市の市立中学校で2021年11月、当時3年生の男子生徒が同学年の少年（15）に刺殺された事件で、専門家で構成する検証委員会は7日、報告書を市教委に提出した。学校が少年の特性や心理状態を見逃したことなどを問題点に挙げ、教員らが発達障害などに関する理解を深めることや、スクールカウンセラーの常駐化、進学時の情報引き継ぎの強化などを再発防止策として提言した。
市教委は事件の翌月、弁護士や精神科医ら5人でつくる検証委員会を設置。11回の会合を通して、少年の保育園から中学までの生活の様子や特性が分かる資料を分析し、担任ら12人から聞き取りをした。報告書は52ページ。市教委は遺族の意向を聞き、報告書の公表方法を検討するとして、この日は概要だけを説明した。
少年は名古屋家裁での少年審判で、自閉スペクトラム症の特性があることが明らかになっている。記者会見した検証委員長の福谷朋子弁護士は「少年のある程度の特性が（事件に）影響を及ぼした」とした上で、学校が事件前に実施した、生活の満足度などを把握できる心理テストの結果に触れ「『満足群』に含まれる子で、注意すべきところがないと考えられ、見逃されてしまった」と指摘。結果を丁寧に分析すれば予兆に気付けた可能性があったが「そこまで（学校現場が）回っていない現状が明らかになった」と説明した。
また「当該学校の問題点もあれば、どこの学校でも同じ状態ではないかと思うこともたくさんあった。それがこういう事態を引き起こしてしまう可能性があることを学校関係者全員に心してほしい」と強調した。
事件は21年11月24日の始業前に発生。少年に廊下に呼び出された男子生徒が包丁で腹部を刺されて死亡した。名古屋家裁は今年3月の決定で、少年が中学3年になり、成績や進路に不安感を強めるようになったと指摘。疎外感や絶望感を抱く中、以前から嫌がらせをしてくると感じていた男子生徒が楽しそうな様子でいるのを見て怒りが湧き、殺害して警察に捕まればつらい現状から切り離されると考えたと動機を説明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61f280d8b2b87b36ba0ea03765d561fc18943d05
