7割が免許返納を嫌がっている…どれだけ家族から反対されても高齢者が運転をやめないワケ
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周囲が止めても「まだまだ自分は大丈夫」だと運転をやめない高齢さんがいます。本人は体の衰えをどう感じているのでしょうか。免許返納を受け入れてもらうには?

昨今、高齢ドライバーの交通事故の多さが問題になっていますが、なぜ事故が増え続けているのでしょうか。それは高齢ドライバーが自分の運転能力の低下に気づかずに運転をしていることにあります。

免許証更新の際に、70歳以上の高齢ドライバーには高齢者講習、75歳以上には認知機能検査が義務づけられています。これらは運転能力の適応を判断するのと同時に、高齢ドライバーに自分の身体能力の低下を認識してもらう意味もあるのです。その一方では、高齢ドライバーは自分の危うさがわからずに、「自分はまだ運転ができる」「自分は運転が上手で無事故無違反の優良ドライバーだ」「自分は有能だ」という自己認識を持っています。自分のことを客観的に見られずに、自分で自分を高く認識してしまう有能感が強いのです。



この結果から、一番多い「操作不適」は、ハンドル操作やブレーキとアクセルの踏み間違いによるもので、75歳以上になると認知能力の分配や瞬時の判断速度が低下していることがわかります。

それでも高齢者が運転をやめないのには自己効力感(自分の考えたことが思い通りになる感覚)が関係しています。最近は日常のいたるところでIT化が進み、普段の暮らしの中で、高齢さんが自己効力感を覚える場面が減っています。

毎日、外出のついでに買い物を楽しみにしている高齢さんも多いと思いますが、コロナ禍以降、お客が自分で操作するセルフレジを導入する店舗が増え、これをうまく操作できない高齢さんが、店員を呼ぶ事態も増えています。

高齢になると体力が落ちて、外出するのもひと苦労です。電車に乗るにしても、自動券売機や自動改札機など、使い方がわからず駅員に聞かなければならないこともあります。その点、移動手段に車を使えば自分の思い通りに運転できて、どこへでも行けます。車を運転することは、自己効力感を感じられる数少ない機会なのです。