統一教会が「反共」を基本とする運動にかかわる歴史は、理念的には1917年のロシア革命にまで遡る。かんたんに振り返っておく。

 ジャーナリストのジョン・リー・アンダーソンとスコット・アンダーソンによれば、第二次世界大戦中、ウクライナの独立運動をしていたヤロスラフ・ステツコは、ナチスに逮捕され転向。ユダヤ人虐殺に手を染め、やがて反ボルシェビキ国家連合(ABN)という反共団体を結成。西ドイツのミュンヘンで暮らすステツコは、1950年代後半から台湾をしばしば訪問し、蒋介石の考えと行動に共鳴したという(『インサイド・ザ・リーグ』社会思想社)。一方、1954年にAPACL(アジア人民反共連盟)が韓国・ソウルで結成された。韓国の李承晩大統領と台湾の蒋介石の提案によるものだ。この年に統一教会が韓国で結成されている。一方、APACLに注目したステツコは、58年にメキシコシティで開かれた世界反共連盟発足準備会議に参加。

 やがてそれらの流れが合流してAPACLを基礎にWACL(国際反共連盟)がソウルで結成されたのが1966年。ステツコのグループが東欧圏から南米に逃れ、国際的な反共活動を行っていたグループがアジアで見出したのが、韓国では文鮮明教祖だった。
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──改定新版 統一教会とは何か
有田芳夫著 大月書店 2022年刊
『序章 統一教会と政治の関係はどう築かれてきたか』より引用


安倍政権8年と統一教会の関係を検証 反響呼ぶ鈴木エイト・有田芳生の最新著書 覆い隠せぬ自民党との組織的関係
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/24726