障害者が地域で暮らせるよう支援を強化する障害者関連法の改正案が9日、衆院で審議入りした。柱の一つが精神科病院での「強制入院」の見直しだ。孤独にならないよう外部との交流を支援したり、入院期間を定めて長期化を防いだりする。一方、家族の意思表示がない場合に市区町村長の同意で入院が可能になるため、当事者からは本人の意思によらない入院が増えるとの懸念も出ている。

 精神医療では、本人の同意がとれない場合の強制的な入院として、家族の同意を必要とする「医療保護入院」や、自傷や他人に危害を加えるおそれがあるときに都道府県知事の権限で入院させる「措置入院」などがある。このうち、今回の改正法案では主に医療保護入院の仕組みを改める。

 外部との接触が少なく、孤独になりやすい問題には、訪問支援員が生活相談に応じたり、地域で受けられる支援の情報などを提供したりする事業を創設。

 入院期間もあらかじめ定め、一定期間ごとに入院が必要かどうか、病状などを確認する。さらに施設内で職員らが虐待を発見したら、都道府県に通報することも義務づける。

 医療保護入院の要件も変更する。症状が悪化して入院が求められる際、本人の同意が得られない場合には原則、家族の同意が必要とされている。ただ、家族からは、長年親交がなかったり専門家ではないため判断が難しかったりして、意思表示を負担に感じるとの声や、本人との関係悪化につながることへの心配もあり、見直しが検討されてきた。

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