モノもサービスも、ありとあらゆる価格が安い日本。最近では数十年ぶりの円安も相まって、「安いニッポン」と言われる機会がますます増えてきている。なぜ日本では、何もかも値段が上がらずに安いままなのか? その理由を、新刊『世界インフレの謎』から探っていきたい。

まずは身近な外食チェーンの具体例から始めよう。日本では900円程度の定食が、なんとアメリカでは実質3000円以上になるという(為替レートは掲載時点のもの)。

■毎日がバーゲンの国、日本

 外食チェーン店「大戸屋 ごはん処」で人気メニューの「チキンかあさん煮定食」は、東京では890円(税込み、金額は執筆時点)です。「大戸屋」は海外展開もしているのですが、ニューヨークのお店で同じ定食を頼むと24ドルです。完全に同じ料理かどうかは試したことがないのでわかりませんが、ウェブの画像を見る限りほぼ同じです。同じ企業が同じ料理を出しているのに、これだけ値段が違っています。

 日本のほうが安いという現象は、大戸屋だけのことではありません。ディズニーランドの入場料は東京が7900~9400円であるのに対して、フロリダは約1万900円、パリは約1万5000円です(金額は執筆時点)。https://news.yahoo.co.jp/articles/a7dca56cdfc6588bf259c306b4051153fe7d6ed8