滋賀県日野町の神戸畜産日野分場で昨年4月、社員寮を全焼させ、従業員の男性を死亡させたとして重過失致死と建造物等以外放火などの罪に問われた無職の女(51)の判決公判が10日、大津地裁であり、大森直子裁判長は懲役3年(求刑同4年)を言い渡した。

判決によると、被告は昨年4月17日夜~18日朝、同分場の従業員だった男性=当時(68)=が住んでいた社員寮で、ハンガーラックにかかっていた男性の上着にライターで火を付けて室内に延焼させ、板橋さんに燃え移らせるなどして死亡させた。

弁護側は「(口論から発展して)男性から首を絞められ、身を守るために火を付けた」と正当防衛を主張していたが、大森裁判長は、被告の供述が公判中に変遷している点を指摘し、正当防衛の主張をしていなかった捜査段階初期の供述が信用できると指摘。

「さらに攻撃を受ける状況にはないのに、被害者に対する怒りの気持ちから威嚇のために放火に及んだ」とし、正当防衛は成立しないと判断した。その上で、「可燃物が多く、被害者がその場にいる室内で放火する態様は、危険性が高く悪質」と非難した。

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