新型コロナウイルス感染症対策分科会(第 20 回) 参考資料8
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai20/gijisidai.pdf#page=83


第8波対策について
       大竹文雄・小林慶一郎

1.オミクロン株は行動制限を必要とする感染症か

 新型コロナウイルス感染症の第8波の発生で、季節性インフルエンザと同時流行した場合に行動制限を課することが本分科会で検討されている。しかし、行動制限という私権制限をする前提が第8波で想定されているオミクロン株では満たされていない可能性が高い。

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したがって、季節性インフルエンザとの重症化率、致死率との比較が行動制限を行うかどうかで非常に重要である。新型コロナウイルス分科会、東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議、厚生労働省アドバイザリーボードのデータをもとに作成された財政制度等審議会財政制度分科会の資料で、新型コロナ感染症の第7波と季節性インフルエンザの重症化率と致死率の比較がされている。
季節性インフルエンザの重症化率は、60歳未満で0.03%、60歳以上で0.79%である。BA4,5が主体であった第7波の重症化率は、60歳未満で0.01%(大阪)、60歳以上で0.14%(大阪)である。また、季節性インフルエンザの致死率は、60歳未満で0.01%、60歳以上で0.55%である。
BA4,5が主体であった第7波の致死率は、60歳未満で0.004%(大阪)、0.01%(東京)、60歳以上で0.475%(大阪)、0.64%(東京)である。つまり、第7波の新型コロナウイルス感染症は、重症化率でも致死率でも季節性インフルエンザよりも低いか同程度になっている。

(略)

したがって、データからは、政府対策本部が廃止されるという条件を満たしていることになる。つまり、特別の医療的対応、行動制限をはじめ様々な財政的援助の根拠となっている特措法上の扱いをする条件を第7波の新型コロナウイルス感染症は満たしていないと判断できる。

(略)