出産や子育てによって脳内に放出され「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが、脂肪を燃焼させる際に活発になる神経回路を見つけたと、名古屋大のチームが米科学誌「セルリポーツ」に発表した。中村和弘教授(生理学)は「オキシトシンが肥満の予防や治療に役立つ可能性がある」と話している。

https://mainichi.jp/articles/20221114/k00/00m/040/295000c

これまでにオキシトシンをつくる神経細胞が減少する「プラダー・ウィリー症候群」の患者は肥満となることが知られていた。またマウスを使った実験で、オキシトシンが機能しないと、脂肪細胞の脂肪を消費して熱を発生させる活動が低下することが分かっていた。ただ神経回路は不明だった。

チームは、ラット脳内の「視床下部」と呼ばれる領域にある、オキシトシンをつくる神経細胞を詳細に分析。脂肪細胞の燃焼などに関わる延髄の神経につながり、情報を伝えていることが分かった。

神経細胞から放出されたオキシトシンが、延髄の神経を介して交感神経を活性化。脂肪を燃焼させて体温を上げたり、心拍数を増やしたりする働きがあることを確かめた。(共同)