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「低用量ピル」広がるオンライン処方 コロナが利用後押し、女性のQOL向上に一役 手続きは?安全面は?

生理の苦痛軽減などに効果がある「低用量ピル」のオンライン処方が広がりを見せている。避妊薬という偏ったイメージや婦人科を受診する抵抗感から、日本では使用をためらう女性が多いとされるピル。だが新型コロナウイルス禍でオンライン診療を導入する病院が増え、ピル処方に特化したスマートフォンなどのアプリも相次いで登場し、手軽に処方を受けられるようになった。実際の手続きは? オンライン診療で安全面は大丈夫? 利用者やアプリ開発企業、医師に聞いてみた。
 低用量ピルは1999年、欧米より約40年遅れて日本で認可され、医師の処方で買えるようになった。避妊のほか、生理痛の緩和▽出血量の減少▽生理前に心身に不調が現れる月経前症候群(PMS)の緩和▽生理日のコントロール-などの効果があり、月経困難症や子宮内膜症の治療で使う場合は保険が適用される。

■コロナ禍が後押し

 大阪市のIT企業「ネクイノ」は、2018年6月にアプリでのオンライン処方サービス「スマルナ」を立ち上げた。19年末の利用者は数万人にとどまったが、政府が新型コロナ感染拡大を受け20年4月、初診からのオンライン処方を解禁したことで利用者が急増。現在は10~30代を中心に63万人が利用している。

 厚生労働省によると、産婦人科医の数は日本の医師全体の約3%と非常に少なく、業務も多忙を極める。地域格差も深刻化しており、同社の利用者からは「住んでいる地域に産婦人科・婦人科がない」「周りの目が気になって受診しにくい」との声があったという。

 広報担当者は「オンライン診療はあくまでも対面診療の補完」としつつも、「(オンライン診療で)女性が抱える心理的、地理的な受診のハードルの解消は徐々に進んでいる。ピルを飲んで生理を楽にするという選択肢を社会に根付かせていければ」と話す。同社によると、大手IT企業などの新規参入も相次いでおり、市場規模も拡大しているという。