「かん黙」状態なのに「声が聞きたい人」と教室でみんなに挙手させる…中1自殺で不適切指導42件
2022/11/17 17:23

 2019年4月に熊本市立中学1年の男子生徒が自殺した問題で、生徒の小学6年時の担任で、不適切な指導が指摘された男性教諭について、市教育委員会は17日、新たに2件の不適切な行為があったと公表した。教諭については、体罰や暴言などすでに40件が認定されており、今回分を含めて42件となった。市教委は「異例の件数」としており、年内にも処分する方針。

 発表によると、教諭は心理的な要因で話せない「かん黙」状態の児童に対して発声の指導をしたり、「声が聞きたい人」とほかの児童に尋ねて手を挙げさせたりした。ほかにも大きな声を出すのが苦手な別の児童に対して、卒業式などの練習で強く指導。児童は保健室で大声で泣いたとし、この2件について新たに不適切な行為と認定した。

 市が設置した審議会は16日、教諭の行為について協議。市教委は、生徒が在籍した小中学校の全保護者にメールを出し、教諭についてほかにも不適切な行為がなかったかどうか情報提供を募ることを決めた。教諭は現在、別の市立小で勤務しており、市教委は17日午後から学校での勤務を停止する。市教委は情報提供に基づく調査結果も踏まえ、年内にも教諭への処分を決定する。

 自殺した生徒を巡っては、市の第三者委員会が10月、生徒は、教諭が別の児童の胸ぐらをつかむ様子などを目撃したほか、自身も叱られてストレスがかかっていたと指摘。不適切な指導が抑うつ状態の発症と悪化に影響した可能性が高く、自殺の一因になったとする報告書を公表した。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221117-OYT1T50229/