こうなるとジョコ・ウィドド大統領としては、G20の機会を利用して習近平国家主席と共に高速鉄道に試乗し、内外にアピールするしかない。

 同乗計画は中国側の確実な合意もないまま、インドネシア国内で期待が膨らんでいた。だが10月末には、ルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)が「両首脳はバリ島からオンラインで高速鉄道の建設進捗状況や試験走行などを視察することになるだろう」という軌道修正を示唆していた。

 そして試乗がキャンセルとなり、インドネシア政府は慌てふためいた。試運転の様子などを習近平国家主席とジョコ・ウィドド大統領がオンラインで視察することを取り付け、なんとかメンツを保ったのだった。

中国製の鉄道、安全性への懸念
 中国側は試乗キャンセルの理由を明確にはしていない。習近平国家主席の外交日程の都合といわれている。しかし、実際の理由はほかにありそうだとの見方もある。

 それは高速鉄道の「安全性への危惧」だ。すでに試験走行を9月に行っているとはいえ、中国の最高指導者でもある習近平国家主席を安全性が担保されていない建設途上の高速鉄道に乗せるのは「リスクが伴う」と判断された可能性が高いのだ。
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