【岩手】授乳中にじっと見てくる男性がいる。夜寝ていたら知らない男性が毛布の中に入ってきた――。いずれも東日本大震災時に避難所で女性たちが見舞われた体験談だ。こうした相談内容をもとに、被災時の性被害などの解消法を考える学習会が16日に盛岡市内であった。

 もりおか女性センターの主催で、過去の災害を教訓に地域防災力を高めるのが狙い。この日は、女性のための相談窓口がある「NPO法人ウィメンズスペースふくしま」の苅米(かりこめ)有希子副代表理事がオンラインで講演し、15人が耳を傾けた。

 苅米さんによると、震災による女性の悩みや暴力相談は2012年度に2千件超で、21年度まで毎年1千件前後が寄せられている。避難所でプライバシーに配慮されないという声のほか、仮設住宅で夫に暴力を振るわれた、周囲になじめず孤立感を味わった、などの訴えが多かったという。

 経済的基盤がない女性は立場が弱いことが多く、「ストレスのはけ口になりやすい」と苅米さん。特に非常時には性の格差が顕在化しやすいとして、「非常時になってから対応するのではなく、平時に社会の構造を見直さないといけない」と訴えた。(西晃奈)

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