https://www.dlri.co.jp/report/macro/212312.html
家計の物価高への負担感は非常に大きく、賃上げが物価上昇に追い付かない状況への問題意識も高まっている。

こうした状況を受け、連合は2023年の春闘基本方針において+5%以上(定期昇給分2%+ベースアップ3%)の賃上げを要求する方針を打ち出している。これは、2016年以降の要求水準である「+4%程度」を大幅に上回る。経団連もベースアップを中心とした賃上げを会員企業に呼びかける意向を示すなど、物価上昇への一定の配慮もうかがえる。いつになく賃上げムードが高まっていることから、最終的には企業側が労働者側にある程度歩み寄る形で決着し、昨年を上回る賃上げが実現する可能性が高い。

もっとも、それでもベースアップは+1%に届かないだろう。消費増税により物価上昇率が大幅に高まった2014年度(総合+2.9%、コア+2.8%)の状況を受けて交渉が行われた2015年春闘では、賃上げ率は+2.38%となった。当時も実質賃金目減りへの政府の問題意識は強く、賃上げ要請が行われていた。その結果、物価高への配慮もあり前年から伸びは高まったものの、ベアは+0.6%程度にとどまった。23年春闘では当時よりも賃上げ機運は高まっているため、上昇率は15年を上回るだろうが、それでもベア+1%超えのハードルは高い。