疎遠だった母の死をきっかけに、小豆島を訪れた槇生(まきお)は、母の夫で自分より年下の伊吹(いぶき)と暮らすことに。
祖母から受け継いだぬか床で、様々なぬか漬けをふるまううち、島の人たちとの温かな関係が築かれていく……。
小説『今夜、ぬか漬けスナックで』の著者・矢永塔子さんの「お手製ぬか漬け」を見る
小説『今夜、ぬか漬けスナックで』(小学館)の著者・古矢永塔子(こやながとうこ)さんに新作に込めた思いをインタビューしました。
ぬか漬けって、すごくプライベートな食べ物
作品を読むと、登場するぬか漬けや、ぬか漬けをアレンジした料理が美味しそうで、自分でも作りたくなります。
なぜ、“ぬか漬け”をテーマに小説を書こうと思ったのでしょうか。
「最初は、美味しい“ごはんもの”の小説を書こうと思っていました。構想していたのは、いろいろな種類の“漬け物”を出すショットバーを舞台に、
仲の悪い母子が喧嘩をしながら、お客さんと関わるストーリーでした。
それが、漬け物のことを調べるうちに、“ぬか漬け”ってすごくプライベートな食べ物だなと、あらためて感じるようになりました。
人のてのひらにはたくさんの菌が棲んでいて、それがひとりひとり違うらしいのですが、素手でかき混ぜることで菌がぬか床にうつって味が変わっていく。
だから家庭によって味が違う。そこが面白くて。
“親子代々で受け継がれているぬか床”をテーマにしたら面白いものを書けるのではないかと思い、“ぬか漬けスナック”へと題材が変わっていきました」
わが子へ贈った絵本から小説家デビューへ
学生時代までを青森で過ごしたのち、東京での社会人生活を経て、ご主人の故郷・高知にお住まいの古矢永さん。
2017 年に小説を書き始め、翌年デビュー、中学生の娘さんと小学生の息子さんの子育てをしながら執筆なさっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d89b78a49eae6b34de81713fcfc9c02286ae2c8a