【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─マーケットはウクライナ休戦を読む!
経済評論家 杉村富生
「マーケットはウクライナ休戦を読む!」

https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202211270023

●ポーランドETFが好人気の理由?

 古来、「株価は正直だ」とか、「株価のことは株価に聞け」などという。アメリカ市場が抜群に強い。NYダウは10月13日の2万8660ドル(ザラバベース)を安値に、11月23日には3万4262ドルと、19.5%の急騰劇を演じている。NASDAQ市場も切り返してきた。これは何を意味しているのだろうか。

 VIX(恐怖)指数は警戒ラインとされる20ポイント割れ寸前だ。原油(WTI)は1バレル=77~78ドルである。逆に、SOX(半導体株)指数はジリジリと上昇している。これはFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ幅圧縮の方針、OPEC(石油輸出国機構)プラスの増産意向(最大で日量50万バレル)、ベネズエラ産原油の市場投入だけが理由ではない、と思う。

 そのヒントは、NY市場のiシェアーズMSCIポーランドETF<EPOL>が商いを伴って上昇していることにある。ポーランドはかつての朝鮮戦争時の日本のように、ウクライナ復興特需を享受できる、というのだ。ウクライナ紛争の終結? 第2次世界大戦後のマーシャルプラン(欧州復興援助計画)の再現? いや~、すごい“情報”である。

 もちろん、これは“うわさ”にすぎない。ただ、最近の状況証拠を積み上げると、和平に向けての動きが秘かに行われているのは確かだろう。ウクライナ、ロシアともに、ボロボロだ。ロシアの暴挙は許せないが、ウクライナ市民は冬を越せない苦境に陥っている。ロシア兵の死者は激増、戦闘に不慣れな予備役(30万人)の苦戦が伝えられている。

 一方、日本市場ではもともとロシアとの関係が深い総合商社が堅調だ。伊藤忠商事 <8001> [東証P]、丸紅 <8002> [東証P]、三井物産 <8031> [東証P]は上場来高値である。三菱商事 <8058> [東証P]は上場来高値圏だ。配当利回りの高さに加え、外国人が買っている。しかし、それだけではないような気がする。